財団法人朝鮮奨学会

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I.奨学会について
II.奨学生募集・選考事業
III.高校奨学生
IV.大学奨学生
V.図書関係
VI.その他事業
各講演の要旨


代表理事挨拶


 在日同胞社会に数ある育英事業を行う諸団体の中にあって、当公益財団法人朝鮮奨学会はその歴史性と特異性を持って語られます。朝鮮奨学会は創立来122年の節目を迎えました。北東アジア近代史のただ中の1900年、大韓帝国時代の留学生を管理すべく当時の公使館に設置された監督事務課を淵源とし、一世紀にわたる歴史の中、まさに日本に於ける同胞学生への支援を目的として存在してきました。

 日本帝国主義による植民地支配の下、朝鮮総督府の傘下にあって留学生の管理・統制の為に機能していた時代を経て、1945年日本の敗戦による解放を機に同胞主体の自立的な運営体制へと変わりました。しかし韓半島にて同族相残の戦争が勃発、在日同胞社会に於いても南北分断の対立構造を反映した対立が激化し、奨学会も多大な混乱状態に陥りましたが、先達らがこうした対立と混乱の状態を止揚、心ある日本人有識者と共に南北双方の代表から役員を構成し運営に司るという現在の体制に繋がりました。幾多の激動の歴史の変遷を経ながら、南北分断の壁を超えての唯一無二の育英事業体として今日の朝鮮奨学会は存在します。

 朝鮮奨学会の目的は、日本の諸学校に学ぶ在日同胞子弟への奨学金給付、そして学究活動の支援となります。日本社会の底辺にあって脆弱な経済基盤の為に裕福とは言えない家庭環境の下、進学を目指す在日同胞子弟の為に返済義務の無い給付型奨学金を支給してきました。

 韓半島にルーツを持ち自らの出自に悩む同胞学生にとって日本社会は決して寛容とは言えません。解放前から連綿と続く在日同胞への差別・偏見に加えて、昨今の激しさを増す国家間の軋轢がレイシズムを表出・横溢させヘイトスピーチ・クライムに見られるような有形無形の圧迫を強いられています。経済的支援と併せて孤立分散する在日同胞子弟の為の出会いの場、ネットワーク作りの契機を提供するのが朝鮮奨学会の重要な役割です。

 近年、世界規模で猛威を振るう新型コロナウイルスの為に諸事業の変更・縮小を余儀なくされましたが、困難な時代にあって、否あるからこそ育英事業体として朝鮮奨学会の存在意義を再認識するものです。次代を担う世代、学生への支援こそがまさに奨学会の原点であり、『為すべき事を為す』所存です。

2022年10月
公益財団法人朝鮮奨学会
代表理事 權 清 志

代表理事挨拶


 私は2022年6月に公益財団法人朝鮮奨学会の代表理事に就任しました。

 120年余りの長い歴史を持つ朝鮮奨学会は、祖国解放後、わが民族の奨学育英機関として新たなスタートをきり、今日まで延べ9万人以上の高校、大学生の就学を支援してきました。奨学金の給付を主に1961年からの奨学事業費の総額は170億円を超え、現在も毎年4億円程の奨学金を給付する全国有数の奨学財団になりました。私は今日まで幾多の困難を乗り越えながら民族の人材育成にご尽力された朝鮮奨学会のすべての関係者の方々に心から敬意を表します。

 2020年以後、世界中での新型コロナウイルスの感染爆発により日本でも多くの社会活動が制約され、本会事業も少なからずその影響を受けました。奨学金の原資であるテナント収入の減少もさることながら、歓迎会はじめ高校生サマーキャンプ、大学生講演会や研究発表会などすべての行事が中止となり奨学生に会う機会を失いました。コロナ禍による保護者や学生自身のアルバイト収入の減少により、学びを断念または一時中断せざるを得なかった学生のことを思うと心が苦しいばかりです。
今年の夏から3年ぶりに対面行事を再開しましたが、わが民族と在日同胞社会の未来である奨学生達の元気な姿を目の当たりにして、本会役職員一同、改めて自身の役割と使命を心に刻むこととなりました。

 奨学生の皆様! 
 民族の誇り、アイデンティティを胸に険路逆境を乗り越え、世界に羽ばたくべく勉学・研究に励んでください。

 当財団に寄せられる同胞社会の期待は益々高まるばかりであり、時代の要求に沿って改革、解決しなくてはならない諸問題も多々あります。私は思想・信条、所属団体を超え、在日同胞社会の様々な要望と変化に合わせて『継承・革新・未来創造』の信念のもと、当財団の代表理事としての責務を誠心誠意、全力で果たしていく所存でございます。なにとぞ本財団の事業に対する関係各位のご支援、ご指導を賜わりますよう心よりお願い申し上げます。
2022年10月
公益財団法人朝鮮奨学会
代表理事 申 敏 浩